ヤマニンゼファーの引退後

●ヤマニンゼファーの引退後

ヤマニンゼファーを担当している森伸也さんは、たぶんほとんどの読者の皆さんと同じく、彼を「ゼファー」と呼ぶ。ただし、その名前を
呼ぶのがむなしくなる時があるのだ。「集牧のときなんか、「ゼファー!』って呼ぶと、パッと顔を上げて、『お、来たな』って感じでトコトコと寄ってきてくれるんです。入り口で待ってればいいんで、ホントに楽なんですよ。でも、その時間帯以外に放牧地を通りかかって呼んでも、ちらっと顔を見るだけだったり、ひどいときはシカトするだけで、来ないんです。ファンの方が来た時、はるか遠くにいたんで、なんとか近くで見てもらおうと思って「ゼファー、ゼファーっ!」て叫んだんですが、全然来てくれないんですよ。ファンの手前もあって、「僕の担当馬なのに:·…」って、ちょっと寂しかったですね(苦笑)」せっかく、森さんがファンのためにとわざわざ呼んだのに来てくれないとは、ゼファーはちょっぴりクールなヤツのようだ。でも、クールなだけではない、こんな一面もあるという。「そのくせ、僕が担当しているもう1頭のヒシアリダーを先に入れようとして引いてると、エライ形相で駆け寄ってきて、アリダーのケツに噛みつこうとするんです。『何でオレが先じゃないんだ(怒)』つて顔で(笑)。もちろん、間に牧柵がありますから噛めませんが、アリダーが怯えてよけるくらいの勢いなんです。よ。今はもう2頭の放牧地が離れてるんで、どっちを先に入れても大丈夫ですが」これは、明らかにヤキモチだ。その証拠に、森さんが他のスタッフの担当馬を引いているのを見ても平然と草を食べているというのだから、まず間違いないだろう。実際、撮影のために放牧地を訪れても、まるで無関心。いや、誰か知らない人間がやってきたというのは認識しており、チラッと見上げるのだが、だからといって近くには来ないのだ。呼べども叫べども来てくれなかった時のファンの方の気持ち、森さんの気持ちを思うと、気の森やらおかしいやらで、失礼だとは思うのだが笑ってしまった。種付けの様子はどうだろう。「身体が小さいですから、よけいに大柄な牝馬に付けることが多いんですが、まずはゼファーの脚元に畳を1枚敷いてみて、それでもダメなら、今度は牝馬の前脚側に敷いて、牝馬のお尻を下げさせるんです。
なるほど、牝馬の重心を下げて、しかもお尻もちょっと下がる、いい方法だ。でも、2頭の敷いている畳とその姿勢を想像するとやっぱりちょっと笑えるかも……。『お仕事なんだから、とにかく行くぞーつ』って感じで(笑)ガンガン行きます。早いし、上手ですよ。」と森さん。クールでヤキモチ焼きだが、さすがにベテラン種牡馬、お仕事はプロフェッショナルなのだった。

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