マヤノトップガンとマーベラスサンデー他の引退後

●マヤノトップガンの引退後

何度も馬を見ていると、その馬の行動パターンやキャラクターが飲み込めてくるものだ。マヤノトップガンの場合、キーワードは「マイペース」。誰が米ても、ちらっと横目で見るだけで、顔も上げない。まして、近付いてくることはなかった。

当然、撮影にはかなりの苦労を強いられることになる。撮影のため放牧地に向かいながら、長期戦を覚悟した。しかし、光線の向きがいいポイントに着き、片膝ついてカメラを構えること5分、なんとマヤノトップガンが顔を上げたのだ!!”びっくりしながらも喜んでシャッターを押し、「終了終了」と言いながらマーベラスサンデーの放牧地に向かおうとした。すると、お隣のキングヘイローがヌッと顔を
出しているではないか。「なんだ、お前も写真撮ってほしかったの?」と訊きながら、せっかくなので1枚。すると、背後に気配がない。振りかえると、マヤノトップガンがぴったりと後ろに貼りついており、再度ビックリ。キングヘイローがその場を離れないのを見て、「オレに隠れて、何かいいものを貰ってるかも……」と勘違いしたのだろうか。もちろん、取材陣は手ぶら、おみやげは一切持っていない。「ゴメンネ、何も持ってないんです」と謝りながら歩き出したのだが、右手のマヤノトップガン、左手のキングヘイローが一緒に歩き出してついてくるのだ。嬉しい憩きである。ニコニコしながら角を曲がったが、ここで2頭とも立ち止まり、見送ってくれた。もっとも、「なんだよ、モデルのギャラは無しかよ(怒)」と思っていたかもしれな、マ、。事務所に戻り、堀敏雄場長にお話を伺った。「ファンが多い馬だよね。手紙とか御守りとか贈ってくれるよ。ウチでは、贈ってもらった御守りはちゃんとその馬の馬房に飾ってるんだ。たくさんあるから、『神様がケンカするんじゃないか(笑)」って言われたこともあるけど、「いいんだよ、それぞれのファンの気持ちが寄り集まって、その馬を守ってくれるんだからって答えたんだ。後で馬房の前を見てごらん」贈ったファンとしてはこれ以上ありがたいことはないだろう。しかも、きちんと飾ってくれるだけではないのだ。贈ってもらった人に、必ずハガキでお礼状を出しているとのこと。「それとね、TVでいつつも出てる横断幕に、マヤノトップガン産駒を応援してくれてるのがあるんだ。横断幕を出すのがどんなに大変か矧ってるから、ありがたくってねえ。一生懸命応援してくれるのが伝わってきて、嬉しいもんだよ」本当に馬を好きなファンの気持ちを分ってくれる堀場長なればこその言葉であり、御守りの扱いであり、心造いではないだろうか。大きなものをスタリオンに送ってこられるとちょっと困るそうだが、その点でも、御守りは最両のプレゼントかもしれない。

●マーベラスサンデーのその後

CBスタッドから移動した馬たちが、今どこでどうしているか、皆さん心配していることだろう。行き先が分り、取材許可を貰えた馬についてはできるだけ取り上げたいというのが、今年の登場馬セレクトのポイントだ。そして、そのうちの1頭、マーベラスサンデーの「今」をご紹介しよう。彼は現在、新冠町の優駿スタリオンステーションに繋養されている。元CBスタッドと同じ、サラブレッド銀座沿いにあるので、移動自体はほとんどお散歩程度の距離でもあり、問題はなかった。移動当初から落ち着いており、手のかからない極等生だという。新天地で過ごす彼を、放牧地に訪ねた。スタッフから「マーベラスの放牧地は厩舎の裏だから」と説明され、「はい。顔を見れば判りますから!」と自信満々で答えたのだが、実は通路を間違ってしまい、水路で隔てられた隣の放牧地に出てしまったの
だ。しかし、かなり距離があるにも関わらず、マーベラスは首を高く上げ、じっと取材班を見つめている。「ああっ、マーベラス君がこっちを見てる、動かないで待ってて」と心で呼びかけ、汗をかきながら、やっとのことでマーベラスの放牧地に辿りついた。マーベラスは首だけ動かして取材班をHで追っていたが、カメラを構えるとおもむろに取材班に向かって歩き出した。放牧地の反対側の柵近くにいたマーベラスは、半分くらいまでくると走りだし、あっという問に目前に到着。相変わらず、人懐こいのが嬉しい。場所や人が変わっても、大事にされ、可愛がられているのが伝わってくる。ところで、なぜ「顔を見れば判ります"」と自信かあったのか、種明かしを。実は、マーベラスサンデーの顔にはでっかいホクロがあるのだ。左目のちょっと上についているこのホクロはすごく目立つ。寅さんこと故渥美清さんとほとんど同じ位置で、大きさのバランスも一緒なのだ(左の写真と、寅さんの写真と見比べて!でも、マーベラスを寅さんとは呼ばないでね)。現役時代は真紅のオシャレなメンコをしていたため、引退して間近で撮影し、初めて知った時は驚いたものだ。でも、マーベラスの妙にオジサンぽい、それでいて愛嬌のあるキャラクターはこのホクロによるところも大きいかも。さて、マーベラスのいつもと変わらぬ人懐こさのお陰で、パドックに辿りついてからわずか5分で撮影終了。ただし、マヤノトップガンの場合もそうだったけど、そんな場合でも、すぐには帰れないものなのだ。あれこれ話しかけながら歩く取材班にぴったりついてくるマーベラスは、曲がり角のところまで来てやっと立ち止まり、見送ってくれた。この人懐こさを皆さんにもお見せしたいのだが、マーベラスサンデーは残念ながら見学できない。御守りやお手紙で応援する気持ちを伝えてはどうだろうか。

●シルクジャスティスの引退後

あまりにあどけなく可愛らしい表情が、女性ファンのハートを直撃したようだ。相当な強豪メンバー揃いだ
った有馬記念を制覇したグランプリ・ホースは、威風堂々とした姿を見せることも、一転して可愛らしい様子を見せることもあるのだ。シルクジャスティスは、今年の1月末に、ここ新冠股業協同組合畜産センターに移動してきた。八木功三場長にお話を伺うと、「落ち着いた馬で、ここに来てからもすぐに馴染んだよ」とのこと。新天地での様子はどうだろうか。朝の種付が終わり、放牧地に引かれていくジャスティスは、なんだか楽しげに首を振りながらやってきた。引き手を解かれて走り出すと、お隣の放牧地のライプリマウントが、牧柵越しに併せ馬をしている。しかし、しばらく観察していると、妙な事実を発見。反対側のお隣であるスエヒロコマンダーは、取材班が放牧地エリアにいる間中、青草を食べては走り、頬張っては走り、というのを繰り返していたのだが、スエヒロコマンダーがいくら走っても、暉いても、ジャスティスは「どこ吹く風」といった感じで、まったく反応しないのだ。ところが、ライブリマウントが走り出すと、なぜか一緒に走り出す。また、部外者である人間がやってきても興味無しで、ちょっとやそっと呼んでも無反応なのに、ライブリマウントが首を上げただけで、そちらを見つめる。もしかして好きなのか?ライブリマウントの方は、「一絣に走りたいんなら、いいよ」と、あくまでも気が向けばつきあってやる、というスタンスに見える。どうやら、ジャスティスの方がライブリマウントにご執心のようなのだ。それにしても、これなら寂しくなんかなー「いいお友達ができてよかったね」と戸をかけ、放牧地を後にした。シルクジャスティスファンに朗報がある。新冠農業協同組合畜産センターは、ここのところずっと見学禁止が続いていた。しかし、八木場長のご原意で、見学再開が決定したのだ。「シルクジャスティスも来たし、ス工ヒロコマンダーも入ったからね。ファンの多い馬たちだから、再開することにしたんだ。以前見学させていた頃‘馬にいたずらしたのがいてそれで見学禁止にした。結局、ほんの一握りの人間のせいで、他のファンも皆見学できなくなったわけだ。再開してからも、もし悪いことしたら、また見られなくするから」笑いながらも、八木場長の言菓は重く、厳しい。今後、ずっと見学させてもらえるかどうかは、皆さんひとりひとりのマナーにかかっているのだ。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です